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風の彩り

娘とその友達が来ていたので、涼を求めて川の上流まで車を走らせた。

ずうっと遡って、渓流が浅くなっているところで車を下りてみた。

私は娘と並んで歩きながら、心は自分のことでいっぱいだった・・。



しばらく歩くと、娘が、「あ、お母さん、蝶が・・」と、指差した。

見ると、ルリアゲハが2匹、川ぞいの道をひらひらと舞っていく。

黒い体に瑠璃色の模様が神秘的な、少し大きめの蝶だ。日頃、家の近くではほとんど見かけない。

それが、こちらに来たり、向こうに行ったりしながら、私たちの周りを飛んでいた。

なんだか気になって、ずっと目で追っていた。



「・・・昔の人は、蝶のことを魂だと思っていたんだって。」

「え?・・・そうなんだ~。」・・・知らなかったよ、今まで・・



渓流に下りてみた。

苔のむした石に座って、足を浸した。

冷たい水はとどまることなく流れ続け、木漏れ日は川面を光らせ、そして水底まで照らしている。

渓流の音がいつの間にか耳の中で響き、そのまま私の中で流れていた。



そのとき、また蝶が川面にやってきた。

今度は、3匹も4匹も、追いかけ合ったりまた離れたりしながら、

日陰になっているところを選び、同じところを繰り返し飛んでいる。

私の近くにも舞ってきて、手を伸ばせば届くかと思うと、身を翻しまた飛び去る。

目が離せなくなるほど、心惹かれる風景だった。

川の音は絶え間なく鳴り続け、川面のきらめきも揺れ続けていた。



2人と夫は少し離れたところで水に入っていた。

皆、着ていた物を濡らしてしまったが、久しぶりの楽しい水遊びだったと思う。

娘と友達は、手をつないで私たちの前を歩き、

私たちは少し離れて、私の拾った美しい石を見たりしながら歩き、

皆それぞれの思いで車に向かった。
by hotaru_1210 | 2007-08-19 21:24 | スケッチ