風の彩り

「縁」 

このパソコンの前、ディスプレイを見るやや左側に、私と母の笑顔が見える。

去年の今頃、11月末に、入院先から数時間、初めて母を家に連れて帰ったときの写真だ。

母も私も、カメラを持つ私の娘に向かって笑っている。

食事がほとんど食べられなくなっていたのに、その時は美味しそうに手作りのお煮しめを食べてくれた母。

「嬉しいけれど悲しい。これが最後かもしれないから。」と言った。

「そんなことないよ。まだ何度でも連れて来てあげるよ。」と答えたけれど、

それが難しいことは分かっていた。

主治医に、帰れる内に帰らせてあげましょうと言われていたのだ。

母は、それから3ヵ月後に旅立った。


別れは、いつも何処かに待っている。

どれほど大切な人であっても、いつかは別れが訪れる。

それも一つの「縁」なのだろう。出会いが「縁」であると同じように。

けれどそれを受け容れるのは辛く苦しい。

「縁」という言葉に出会いのことばかりを関連付けていたから・・・。

今年の初めに、今年の漢字はこの文字「縁」に決めた。

風景と出会うのも、人と出会うのも、一期一会のことだ。

過ぎていく日々の出来事は、ただ一度だけの縁なのだと承知している。

だから、とらわれる心をなくして、淡々と風のように生きられたら・・・とも思う。

そんな境地に入るのが難しい凡人の私は、せめて、

その日の出会いをただ一度だけのこととして、心を込めていたいと思っている。

いつか、この美しい世界や私を囲む人々の前から私が消えていくのだから・・・



母との日々にようやく向き合えるようになって来たのかもしれません。
最後の日々を振り返り、涙の出ることを怖れなくなってきました。
[PR]
by hotaru_1210 | 2011-12-04 22:12 | その他